溶接ヒューム
「溶接ヒューム」が特定化学物質に
金属アーク溶接等で発生する「溶接ヒューム」はこれまで「粉じん」として健康 障害防止対策を講じてきましたが、今般、溶接ヒュームに含まれる化学物質につ いて労働者への健康障害のリスクが高いと認められたことから、粉じん対策に加 え、特定化学物質に追加し、ばく露防止措置などの必要な対策を講じていただく ために、政令と厚生労働省令の改正を行いました。 これにより、特定化学物質等作業主任者の選任や特殊健康診断及び作業環境測定 の実施の実施が義務付けられることとなりました。
政令の改正の概要
特定化学物質(第2類物質)に「溶接ヒューム」とこれまでマンガンから除かれていた 「塩基性酸化マンガン」を追加しました。
塩基性酸化マンガンの製造・取扱業務を行う屋内作業場については、作業環境測定の対 象となります。
なお、溶接ヒュームについては、定期的な作業環境測定の実施は必要ありません。
(1) 測定及び換気関係
1 これまで金属アーク溶接等作業を行う屋内作業場については粉じん障害防止のため、
少なくとも全体換気を行うこととされていましたが、今回の改正でも同様に、屋内作業
場については、全体換気装置による換気の実施又はこれと同等以上の措置(プッシュプ
ル型換気装置、局所排気装置を含みます)が義務付けられます。
2 金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場において、新たな金属アーク溶接等
作業の方法を採用しようとするとき、又は当該作業の方法を変更しようとする場合は、
あらかじめ、当該金属アーク溶接等作業に従事する労働者の身体に装着する試料採取機
器(個人サンプラー)等を用いて行う測定により、空気中の溶接ヒュームの濃度を測定
することが義務付けられます。
なお、法令の改正後に求められる措置を確実に行うため、経過措置として、令和3年 4月1日から令和4年3月 31 日までの間に、金属アーク溶接等を行う屋内作業場につ いては個人サンプラーによる測定を必ず実施する必要があります。
3 上記測定の結果に応じて、換気装置の風量の増加その他必要な措置を講じなければな
りません。なお、この措置を講じたときは、その効果を確認するため、2と同様に再度
個人サンプラーによる測定が必要です。
4 上記2及び3による測定を行ったときは、その結果を記録し金属アーク溶接等作業を
行わなくなった日から3年間保存しなければなりません。
(2) 保護具関係
1 これまで金属アーク溶接等作業を行う者については粉じん障害防止のため、国家検定
品のうち粒子捕捉率 95%以上の呼吸用保護具(粉じんマスク)の着用が義務付けられ ていましたが、改正後においても溶接ヒュームによる健康障害防止のため、前記(1) 2、3で得られた結果などを踏まえ、有効な呼吸用保護具を使用させなければなりませ ん。また、労働者は保護具を使うように命じられた時は使用しなければなりません。
なお、屋外や臨時作業においてはヒューム濃度の測定は必要ありませんが、呼吸用保
護具は使用しなければなりません。
2 1のうち、前記(1)2による測定結果をもって措置する部分については、令和4年4 月1日から適用になります。